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脳室内に再発した悪性脳腫瘍の治療として大量の抗がん剤治療及び末梢血幹細胞移植を受け,その後転院した患者が死亡した事例

脳室内に再発した悪性脳腫瘍の治療として大量抗がん剤治療及び末梢血幹細胞移植を受け,その後転院した患者が死亡した事例

大阪地裁 平成26年3月18日判決
事件番号 平成23年(ワ)第10688号

 本件は,A大学病院において,脳室内に再発した悪性脳腫瘍の治療として大量抗がん剤治療及び末梢血幹細胞移植を受け,その後B総合病院に転院した患者が死亡したことについて,亡患者の相続人である妻が,A大学病院に対しては担当医らには亡患者に敗血症の疑いがあったにもかかわらず必要な検査を怠った過失,そのような状態でB総合病院に転院させた過失などがあり,B総合病院C医師に対しては亡患者に敗血症の疑いがあったにもかかわらず必要な検査を怠ったなどの過失があり,B総合病院の開設者に対しては,その責任に加えて,専門家でないC医師に診療を担当させた過失があると主張して,損害賠償を求める訴訟を提起したが,妻の死亡により,上記損害賠償請求権を妻から相続した両親である原告らが訴訟承継した事案である。

 裁判所は,A大学病院医師らには,本件転院直前において,感染症である敗血症を疑ってこれ以上の何らかの検査をすべき義務があったということはできないし,当時病棟の改築工事もあり経過観察のための入院が困難であったこと,親族らは治療後には転院する必要がある旨の説明を繰り返し受けていたこと,B総合病院においては急性期の脳腫瘍疾患に対応できる体制にあったことに照らせば,亡患者を転院させずにA大学病院において継続して治療する義務があったとは認められない。また,C医師において敗血症を疑うべきであったということはできず,その検査を行うべき義務があったとは認められないとし,同医師には入院患者に関し感染症を含む全身管理の経験があり,さらに必要に応じてA大学病院の血液内科医師に助言を求めるなどしていることからすれば,B総合病院開設者には,亡患者の治療につき,感染症専門医にも担当させる義務があったと認めることはできないとして,原告らの請求をいずれも棄却した。



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