【弁護士法人ウィズ】医療ミス医療事故の無料電話相談。弁護士,医師ネットワーク

大動脈弁置換術後に脳梗塞を発症し,左半身の機能障害等の後遺障害を負った事例

東京地裁 平成22年12月13日判決

事件番号 平成20年(ワ)第21427号

 

本件は,大動脈弁閉鎖不全症(AR)にり患していた患者が,被告病院において大動脈弁置換術を受けたところ,術後に脳梗塞を発症し,左半身の機能障害等の後遺障害を負ったことについて,担当医師には,①人工心肺離脱時に心臓内に残った空気を十分に排出しなかった過失があり,その結果,患者は空気塞栓を原因とする脳梗塞を発症するに至ったと主張し(主位的主張),②患者に対して大動脈弁閉鎖不全症の重症度を誤って説明し,また,大動脈弁置換術のほかに経過観察という選択肢がある旨の説明をしなかった過失があり,その結果,患者は治療法の選択に関する自己決定権を侵害されたと主張して(予備的主張),被告病院に対し,診療契約の債務不履行又は不法行為(使用者責任)に基づく損害賠償を求めた事案である。

 

裁判所は,担当医師には,本件手術において人工心肺を離脱する際,患者の心臓内に残存する空気を十分に排出すべき義務を怠ったことを示す具体的事情を認めるに足りる証拠はなく,また,慢性型のARでは,いったん心不全症状が出現すると病態が急速に悪化することが多いため,時期を誤ることなく外科的治療を考慮すべきであるとされていることなどに照らし,患者に対して経過観察についての説明をしないという担当医師の判断及びこれに基づく説明に不合理ないし不適切な点があったとはいえないとして,患者の請求をいずれも棄却した。



医療過誤・弁護士・医師相談ネットへのお問い合わせ、関連情報

弁護士法人ウィズ 弁護士法人ウィズ - 交通事故交渉弁護士 弁護士法人ウィズ - 遺産・相続・信託・死後事務 法律相談窓口

ページの先頭へ戻る