分娩のために受診した病院での治療中に羊水塞栓症を発症,産科DICも併発し死亡した事例
分娩のために受診した病院での治療中に羊水塞栓症を発症し,その後産科DICも併発して死亡した事例
静岡地裁 平成27年4月17日判決
事件番号 平成21年(ワ)第1809号
本件は,分娩のために受診した病院での治療中に羊水塞栓症を発症し,子宮を主体とするアナフィラキシー様のショックにより,血管攣縮,血管透過亢進及び浮腫を生じて,その後産科DICも併発したことにより死亡した患者の親族が,患者の死は,担当医師の治療行為上の過失(当時の患者には,常位胎盤早期剥離による大量出血に基づく出血性ショックの兆候があったにもかかわらず,十分な輸血等の措置を行わなかったなど)に基づくものである旨を主張して,病院に対しては診療契約上の債務不履行または不法行為(使用者責任)による損害賠償請求として,担当医師らに対しては不法行為による損害賠償請求として,患者の死亡により生じた損害(慰謝料及び逸失利益等)の連帯支払を求めた事案である。 裁判所は,担当医師らの治療には注意義務違反(治療行為上の過失)があったものというべきであるとしたものの,患者の死亡との間に相当因果関係があることについては,これを認めるに足りないとして請求を棄却した。