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治験薬の治験に参加した被験者がこれを服用していたところ,平滑筋肉腫を発症し死亡したことについて損害賠償を求めた事例

治験薬の治験に参加した被験者がこれを服用していたところ,平滑筋肉腫を発症し死亡したことについて損害賠償を求めた事例

東京地裁 平成24年8月9日判決
事件番号 平成22年(ワ)第14100号、平成24年(ワ)第11406号

 本件は,被告Y社の製造する治験薬(食欲を減退させることにより結果的に体重を減らし,また,脂肪細胞や肝臓などに作用して肥満による合併症である脂質代謝異常や糖尿病などを改善させることが期待される薬で,治験は脂質異常を有する肥満症患者を対象に行われていた。)の治験に参加した被験者が,これを服用していたところ,平滑筋肉腫(軟部肉腫の一種であり,軟部肉腫とは,癌と同様,悪性腫瘍の一種で,体の軟部組織から発生した悪性腫瘍のことである。)を発症し死亡したことについて,同人の配偶者が,被告Y社に対し,本件治験における補償制度に基づく補償金の支払いを求めるとともに,同人の相続人である原告らが,本件治験を担当した医師及び被告Y社の説明義務違反により被験者の自己決定権侵害があったとして,本件治験担当医師及び被告Y社に対して,不法行為に基づき,損害賠償を求めた事案である。

 裁判所は,本件補償制度に基づく補償金の支払いを訴訟上請求することは適法であるものの,本件治験薬の服用と本件症状の発生とは,その時間的な経過からして,因果関係はないため,原告配偶者の主張するような補償金請求権は認められないとした。また,治験担当医師は,被告Y社の指示に従った説明を適時に行っており説明義務違反は認められないとし,被告Y社が説明するように指示した内容は,被験者が本件治験薬の治験を行うかどうかを判断するのに十分なものであり,それ以上に原告らの主張するような説明が必要であったとはいえず,被告Y社にも説明義務違反は認められないとして,原告らの請求をいずれも棄却した。

 



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