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乳房のしこりの自覚症状を訴えて受診した患者に対する第3回診察時点での細胞診検査を怠り,その後乳がんにより患者が死亡した事例

乳房のしこりの自覚症状を訴えて受診した患者に対する第3回診察時点での細胞診検査を怠り,その後乳がんにより患者が死亡した事例

仙台地裁 平成2457日判決
事件番号 平成20年(ワ)第856

 本件は,左乳房のしこりの自覚症状を訴えて被告を受診した患者が,被告には第2回診察又は第3回診察の時点で穿刺吸引細胞診検査(細胞診検査)を行うべき注意義務があるのにこれを怠ったことから,その後乳癌により死亡したとして,本件患者の死亡により本件訴訟を承継した原告ら(患者の夫及び子)が,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。

 裁判所は,本件患者は,被告が第3回診察の時点において,本件患者に対する細胞診検査を怠った結果,その死亡時点でなお生存していた相当程度の可能性を侵害されたものであるところ,本来実施されるべき検査を受けられないまま,乳癌の宣告を受け,治療を継続しながらも死亡するに至った本件患者の精神的苦痛の程度は,決して軽視できるものではないとして,慰謝料相当額を認めた。

 他方において,過失の態様や本件患者の乳癌の性質,予後という点で見ると,第3回診察の時点で明らかな乳癌の所見を見落としたわけではないこと,乳癌に対する治療開始の時点で本件患者の乳癌が悪性度の高いものであり,ホルモン療法の適応がないこと,第3回診察時から乳癌の治療開始時期までが約4か月離れているにとどまっており,第3回診察時点で治療を開始しても本件患者の予後に大きく影響を与えるとまではいい難いとして,原告らのその余の請求を棄却した。

 



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